SES(System Engineering Service)企業とは、一般的には、エンジニアの技術力や労働力をクライアント企業に対してサービス提供する企業を指します。SES契約とは多くの場合、成果物の納品に対して報酬が発生する請負契約ではなく、システム開発などの労働時間に対して報酬が発生する準委任契約のことです。
大企業から中小企業まで多くのSES企業がありますが、東京には15,000社以上のSES企業があると言われており、エンジニアの転職先として優良なSES企業を見極めるのは容易ではありません。優良の定義は人それぞれであり、売上高・社歴・資本金・年収・残業時間など、どのようなポイントから判断すればよいか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。
本記事では、大手SIerやITスタートアップでエンジニアとして15年勤務し、現在はフリーランスエンジニア及びIT業界専門のライターとして活動する筆者が、東京都に本社を構えるSES企業を、優良SES企業の見極めポイントの一つである「還元率」が高い順にランキング形式で紹介します。優良SES企業への転職を目指している方はぜひ参考にしてみてください。
※本記事で紹介する還元率は、各企業の公式サイト及び求人サイトで公開されている情報に基づく値です。事実と異なる情報があれば随時修正しますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
SES企業一覧【還元率ランキング】東京111社
おすすめ高還元率SES企業TOP5(東京都版)
SES企業の還元率は、企業によって「〇%~〇%」のような下限値・上限値で開示している場合と「平均〇%」のように平均値で開示している場合があります。本記事では還元率を下限値で比較することをおすすめします。
上限値は上位数%の従業員の実績なので多くの人に当てはまりませんし、平均値も下位と上位の差が開いていると想像と実態のギャップを感じやすいです。しかし、下限値であれば、どの従業員でも必ず保証される還元率になるので、多くの方におすすめできます。
ここでは還元率の下限値が高いことを前提に、還元率以外に福利厚生や信頼性などの要素も考慮して、東京の高還元率SES企業のおすすめTOP5を紹介します。
なお、本記事の還元率は公式サイト及び求人サイト等の公開情報に加え、企業に直接お問い合わせをしてヒアリングした数字を基準にしております。公開情報がなく、お問い合わせをした末に企業からお返事がない場合は「不明」「ランク外」としております。

1位|Saze株式会社
東京都千代田区に本社を置く、情報システム構築に関わる業務全般に携わるSES企業です。
還元率は、本記事で紹介している東京のSES企業111社のうちで下限値・平均値・上限値いずれもダントツで1位。都内IT企業No.1の年収への還元率を誇り、20代でほぼ全員が年収600万円以上を維持しています。
日本次世代企業普及機構ホワイト企業認定(GOLD) 、TOKYOパパ育児促進企業 ゴールドを取得したIT企業であり、有給消化率は創業以来100%を継続。毎日300件以上の案件相談を受けており、自身の希望にあったプロジェクト参画も可能なのも特徴です。
また、運用保守・テスト案件を禁止しているので、コードを書いて成長したい方には特におすすめです。報酬・労働環境・成長性どれをとってもエンジニアにとって優良なSES企業ですね。本記事で紹介している高還元率SES企業111社の中でも老舗なので安心感もあります。

2位|株式会社エル・フィールド
東京都中央区に本社を置く、ソフトウェア開発、アプリ開発、インフラ構築のSES企業です。
還元率の下限は2024年に80%➝82%にアップ。「個人のライフスタイルに合わせて自由に働ける環境の実現」を掲げ、在宅勤務率は95%です。子育て世代に特化した制度も導入しており、子育て世帯が3割以上を占めます。案件は3万件以上から100%自由に選択可能で、上場企業直の案件も多数。
1位のSazeと比べると還元率は圧倒的に劣りますが、エンジニアファーストの制度は十分に魅力的なため2位としました。

3位|ReBoot Tech株式会社
東京都渋谷区に本社を置く、システムエンジニアリングサービス・ITシステム販売代理店事業を展開しているSES企業です。
還元率の下限は82%。「働くエンジニアへの最大限の還元」を掲げ、透明性の高い制度が特徴的です。たとえば、ReBoot Techの給与システムは、売上・スキル・実績を基準に還元率が変動するミッショングレード制度。しかも、案件単価や給与計算方法まで公開されているので自身で年収の計算も可能です。
自身の頑張りを正しく評価してほしいエンジニアにおすすめの会社ですね。
4位|株式会社レインオンファニー
東京都渋谷区に本社を置く、受託開発も行うSES企業です。
還元率の下限は81%。平均残業時間9時間(2024年9月実績)、副業OK、キャリアアップサポート制度などはあれど、特別な制度があるわけではありません。しかし売上16億円9,000万円・社員数113名の規模があり、1位~4位の企業と比べると安心感はあるかもしれません。
一定の規模があり安定していそうな会社に就職したいエンジニアにはおすすめです。
5位|株式会社MapleSystems
東京都中央区に本社を置くSES企業です。
還元率の下限は80%。会社都合で案件が振り分けられず、案件の選択権が100%エンジニアに委ねられています。また、「大人の夏休み」という制度があり、勤続3年以上であれば「まるっと1か月休暇+30万円のお小遣い」がもらえるそうです。
還元率が1~4位と比べて特別高いわけではありませんが、MapleSystemsは東京証券取引所マザーズ上場の株式会社TWOSTONE&Sonsのグループ会社です。
一定の規模があり安定していそうな会社に就職したいエンジニアにはおすすめです。
転職先として優良なSES企業・ホワイトSES企業の見分け方
SES企業に転職を考える際、できるだけ優良企業・ホワイト企業で働きたいと思うのはごく自然なことですよね。しかし、東京には15,000社以上のSES企業があり、その中には働きやすい企業もあれば、逆に労働環境が芳しくない企業もあります。ここまでは、エンジニアの転職先として優良なSES企業・ホワイトSES企業を見極めるポイントの一つである「還元率」が高い東京のSES企業をランキング形式で紹介しました。続いては、エンジニア歴15年の筆者が、還元率以外でエンジニアの転職先として優良なSES企業・ホワイト企業の見極めポイントを解説します。
優良ポイント①元請・2次請け案件が多い
企業から直接受注した案件や、2次請けの案件は、3次請けや4次請けと比べて間に入り売上を抜く会社が少ないので利益率が高くなります。利益率が高ければそれだけ給与水準も高くなります。また、元請・2次請けは、無茶な業務量や納期を振り分けられる心配が少なく、プロジェクトの全体像も把握しやすいのでやりがいも感じやすいです。
優良ポイント②社員の離職率が低い
離職率が低い企業は、社員が働きやすい環境が用意されている傾向にあります。逆に、評価制度が不明確で給与が上がりにくい企業や、自身が望まない案件ばかり押し付けられるような企業は一般的に離職率が高く、優良とは言えません。
優良ポイント③評価制度に納得感がある
評価制度が整っているかも見極めポイントになります。評価制度が整っていない・不明確・納得感がないSES企業では、どれだけ頑張っても正当な評価を受けられません。正当な評価を受けられなければ、給与も上がりにくくなりますし、モチベーションを維持するのも難しくなりますよね。
優良ポイント④スキルアップが望める
エンジニアとしてスキルアップが望める環境かも重要なポイントです。SES企業はエンジニアとしてのスキルと労働力を価値としてクライアント企業に提供しているので、エンジニアの転職先として優良なSES企業は技術研修や資格取得支援などの制度が充実している傾向にあります。一方で社内に十分な育成制度がないSES企業もありますが、そのような環境ではなかなかスキルアップが望めません。
優良ポイント⑤雑務に追われない
設計や開発など、エンジニア業務に集中できる環境かどうかも実は重要なチェックポイントです。SES企業の中には、書類作成や経費精算といった雑務や、案件獲得の営業活動まで任されるようなケースもあります。こういった環境では本来希望していた業務に集中できず、なかなかやりがいを感じられなかったり、自身のエンジニアとしての成長が望めない場合があります。エンジニアの転職先として優良なSES企業を見極めるには、実際にどんな案件がありどんな仕事を任せられるのか?プロジェクトの選択はできるのか?などを事前に確認しましょう。
優良ポイント⑥リモート勤務や休暇取得が自由
働きやすさの観点で、リモート勤務の可否や休暇取得の自由度の高さも重要です。エンジニアの転職先として優良なSES企業の多くは柔軟な勤務体系を導入していたり、プライベートも充実させながら働けるように休暇取得が自由にできる文化が醸成されています。リモートワークが禁止であったり、休暇が取得しにくい企業もあるため注意が必要です。
優良ポイント⑦福利厚生が充実している
福利厚生も確認しましょう。社会保険や交通費支給だけでなく、資格取得補助や住宅手当(家賃補助)、さらには独立支援制度を設けているようなエンジニアの転職先として優良なSES企業もあります。働きやすさに直結する重要な福利厚生ですが、実際に活用されていないケースもあるため、その企業で実際に運用されている制度なのかも併せてチェックしたいですね。
優良ポイント⑧ ネガティブなクチコミ・評判が少ない
ネガティブなクチコミ・評判がどのくらいあるかも見極めポイントとして挙げられます。転職サイトやSNSなどで、現職や元社員の評判を参考にすることで、企業の実情が掴めることもありますよね。もちろん、クチコミはあくまで個人の意見であり、すべてを真に受けないようにはしましょう。
補足:優良ポイントの信憑性はどう確かめる?
優良ポイントがわかったとはいえ、その信憑性はどう確かめるべきか悩みますよね。ここではその具体的な確かめ方を2つ紹介します
(1)転職サイトでの口コミをチェックする
ポイント⑧でもお伝えしましたが、実際に所属していた社員の生の声は信憑性が高いです。
どんな案件が実態として多いのか?求人に書かれている評価制度や福利厚生は本当に運用されているのか?実際の仕事内容はどうなのか?など細かく書かれている場合も少なくありません。
転職者が在籍していた時期と現在とでは実態が変わっている可能性もありますが、口コミの内容は積極的にチェックしてみましょう。
(2)面接官に質問する
面接選考の場で、最後に求職者からの逆質問が行えるケースは少なくありません。この機会に、上記の優良ポイントが本当かどうか直接質問して確かめてみましょう。
下記で質問の例を紹介します。
「優良ポイント①元請・2次請け案件が多い」に対してであれば、「実際にエンジニアの方が担当している案件の割合として、元請や2次請けの案件はどの程度ありますか?求人では元請案件が多いと書かれておりましたが、御社ならではの強みなどがあれば教えていただけますでしょうか。」のような質問が考えられます。
「優良ポイント②社員の離職率が低い」に対してであれば、「社員の定着率を維持するために、具体的にどのような取り組みをされていますか?また、最近の離職理由としてどのような理由が多いか、可能な範囲で教えていただけますでしょうか。」のような質問が考えられます。
「優良ポイント③評価制度に納得感がある」に対してであれば、「エンジニアが評価制度に納得感を持てるようにするために、どのようなフィードバックや評価プロセスを設けていますか?また、評価制度に対して実際にエンジニアからどのような声が挙がっているか教えていただけますでしょうか。」のような質問が考えられます。
「優良ポイント④スキルアップが望める」に対してであれば、「社員のスキルアップのための制度や研修はどのようなものがありますか?また、どのくらいの社員が実際にそれらを活用しているのか、最近の事例などがあれば教えていただきたいです。」のような質問が考えられます。
「優良ポイント⑤雑務に追われない」に対してであれば、「エンジニアが本来の業務に専念できるよう、具体的に取り組まれていることはありますか。」のような質問が考えられます。
「優良ポイント⑥リモート勤務や休暇取得が自由」に対してであれば、「リモートワークや休暇取得に関して、実際の運用状況やチーム内での取得率などを教えていただけますか?特に、求人には休暇が取りやすいとあったので、どのような工夫をされているか伺いたいです。」のような質問が考えられます。
「優良ポイント⑦福利厚生が充実している」に対してであれば、「福利厚生の充実とお伺いしましたが、特にエンジニア職においてどのような内容があり社員からどのように評価されているかも伺えますでしょうか。」のような質問が考えられます。
このようなことを質問して、選考で不利にならないか不安な方もいるかもしれませんが、実態と違う会社への入社を避けるためにも、気になるポイントは積極的に質問したほうが良いです。残念ながら、面接官が実態と異なる内容を回答してしまう(≒嘘をつく)会社もあるかもしれないので、口コミのチェックも欠かさず行うことをおすすめします。
SES企業で働くメリット
読者の中には、SES企業で働くかどうか迷っている人もいるかもしれません。「SES やめとけ」のような言葉も一部ありますが、SES企業で働くことにネガティブなイメージを抱く人も少なくないでしょう。そこで続いては、SES企業で働くことのメリットを解説します。
多様な経験が積める
SES企業では、エンジニアはクライアント企業に常駐して様々なプロジェクトに参画するため、多様な業務経験が積めます。プロジェクトを自由に選べるなどSES企業の環境次第ではありますが、エンジニアとしてスキルの幅を広げるチャンスは多いです。例えば、システム開発のプロジェクトに参加してプログラミングのスキルを磨くこともあれば、インフラ構築の現場でネットワークやサーバーの知識を深めることもできます。またプログラミング言語を幅広く習得していきたい場合、Javaのプロジェクトを経験したら次はRubyのプロジェクトを経験、のようなことも可能です。幅広い経験は今後のキャリアに大いに活かせるでしょう。
有名企業のプロジェクトに関われる
SES企業で働けば、大企業や有名企業のプロジェクトに関われるチャンスもあります。入社ハードルが高い大企業であっても、SES契約を通じて大規模プロジェクトに参画できれば、職務経歴書でアピールもできるので経歴において貴重な経験になりますよね。さらに有名企業ならではの大規模サービスの開発や、最新技術に触れる機会もあるため、自身のスキルアップの機会になり得ます。
短期間で専門性を高めやすい
SES企業では、プロジェクトごとに求められるスキルや知識が異なるため、専門的なスキルを短期間で習得することが求められます。プロジェクトを通して新しいスキルや知識のキャッチアップを常に求められるため、エンジニアとしての成長速度はグッと上がります。またSES企業の中にはエンジニア自身が技術力を高めるために、研修制度や資格取得の支援制度、さらにエンジニア同士の技術交流の機会を設けている場合もあります。
比較的ワークライフバランスがとりやすい
SES企業ではプロジェクトごとに契約が結ばれるため、比較的自由な働き方を選択することが可能です。例えばプロジェクトに参画する前に、希望する業務内容や稼働時間を選択できるSES企業もあります。中にはフルリモートで働ける案件もあり、その場合は通勤時間が不要になるのでその分プライベートに多くの時間を割けますね。仕事もプライベートも重視したい方にとって、このような働きやすさを重視した選択肢があることもSES企業で働くメリットの一つです。
還元率が高いSES企業であれば給与が上げやすい
還元率が高いSES企業では、エンジニアのスキルや経験に応じて、適正な報酬が支払われることが一般的です。エンジニアの努力や成果が給与に反映されやすく、モチベーションを維持しやすい環境が整っています。但し、あくまで還元率が高いSES企業でのメリットのため、給与を重視する方は還元率に注意してください。
人間関係の悩みが少ない
SES企業ではプロジェクトが終了すれば常駐先での人間関係も一旦リセットされるため、長期間にわたる人間関係を構築する必要性がなく、ストレスを感じにくいというメリットがあります。通常の企業では、人間関係の構築に頭を悩ませ仕事に集中できないケースもありますが、SES企業ではプロジェクトごとに常に新しい環境で仕事に取り組むことができ、比較的ストレス少なく働けます。
多くの人脈を作れる
SES企業ではプロジェクトを通して、クライアント企業をはじめとした他社の人々と関われるため、仕事の人脈を広げやすいという特徴があります。これらの繋がりは将来の仕事の機会やキャリアの発展につながる可能性があります。また、クライアント先のエンジニアと交流が生まれれば、自身のさらなるスキルアップの機会にもなりますね。
SES企業で働くデメリット
SES企業で働くことには多くのメリットがある一方で、特有のデメリットも存在します。これらのデメリットを理解しておくことで、キャリアを選択する際により適切な判断ができるでしょう。続いては、SES企業で働くうえでの主なデメリットについて詳しく紹介します。
プロジェクトによって業務環境の違いがある
SES企業のエンジニアは、クライアント先で業務を行うため、プロジェクトごとに業務環境や職場の雰囲気が異なります。ストレスの少ない環境に恵まれることもあれば、納期などの指示が厳しい環境に悩むこともあり得ます。また、勤務地もプロジェクトごとに異なることが多く、通勤時間や通勤経路が頻繁に変わる可能性もあります。SES企業によってはプロジェクトの内容や働き方をしっかりと選べる企業もあるため、不安な方は案件の選択肢が豊富な企業を選びましょう。
キャリアパスに悩みやすい
SES企業でのキャリアパスは、他の雇用形態に比べて不透明な場合が多いです。SES契約はクライアント先での業務が主となるため、プロジェクトに応じて業務内容が変わり、キャリアの方向性が不明確になるケースがあります。特にプロジェクトが自由に選べないSES企業では、自分の望むキャリアに沿った経験を積みにくくなります。
また、SES企業では管理職やリーダーポジションにアサインされるケースが少なくマネジメントスキルが培われなかったり、プロジェクトごとに業務内容が変わるため特定領域の専門性を高めにくかったりします。
このような点が不安な方は、プロジェクトを自由に選べるか、キャリアアップの支援があるか、などのポイントを事前に確認しておくと良いですね。
達成感を得られにくい
多くのSES契約は、業務の成果物に対して報酬が支払われるのではなく、作業時間や労働力に対して報酬が支払われる準委任契約です。そのため、プロジェクトを完遂しても、成果に対して評価を得られなかったり、開発物に対してのフィードバックが得られなかったりするケースがあります。また、業務内容が運用や保守といったルーチンワークに偏る場合も少なくなく、達成感を得られにくいという声は多々あります。
一方でSES企業の中には、エンジニアのモチベーションを維持するために、納得感のある評価制度や福利厚生を設けていたりします。達成感を重視される方は、どのような制度があるのか事前に確認しておきましょう。
還元率が低いと給与が低い可能性がある
SES企業は、報酬がクライアントとの契約に依存しており、その契約金額の一部がエンジニアに還元される仕組みのため、契約の内容やSES企業の還元率によっては給与が低い可能性があります。
また、クライアント企業の業績や経営状況の影響を受けプロジェクトが突如打ち切りとなり、プロジェクト終了後に次の案件が決まらない場合もあります。この待機期間に給与が減額されるSES企業もあるようなので注意が必要です。
一方で、優良SES企業の中には、報酬の還元率が80%を超える企業や、待機期間も満額で給与が支払われる企業もあるため、給与に不安がある方はこの点もぜひチェックしましょう。
自社への帰属意識が薄れやすい
SES企業のエンジニアは、クライアント企業に常駐することが多いため、所属企業内でのコミュニケーションが不足しがちです。所属企業の上司や同僚と会う機会が少なく、社内からサポートやフィードバックを受ける機会も限られるため、帰属意識が薄れやすく孤独感も感じてしまうことがあります。
一方でSES企業の中には、自社エンジニア同士の積極的な交流や勉強会を設けている企業もあるため、社内でのコミュニケーションを大事にしたい方は、社内の交流について事前に確認してみましょう。
プロジェクトが自由に選べない可能性がある
SES企業によっては、エンジニアが希望するプロジェクトに必ずしも参加できるとは限りません。特に、SES企業の営業力やクライアント企業との関係性によっては、エンジニアの希望よりも会社の利益を優先するSES企業もあります。このように、エンジニアがプロジェクトを自由に選べないSES企業では、自分のスキルやキャリアに合わないプロジェクトにアサインされることが多々あり、モチベーションが下がったりスキルアップの機会が限定されてしまったりするので注意が必要です。
SES企業の将来性
IT業界の市場規模は伸び続けている
SES業界も属するIT業界の市場規模は、矢野経済研究所が2022年に発表した「国内民間IT市場規模推移と予測」にて2022年時点では14.1兆円とされており、2023年以降も市場規模は成長し続ける見込みです。

参考:矢野経済研究所「国内企業のIT投資に関する調査を実施(2023年)」
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やAIをはじめとする最新技術の活用が進むなかで、IT業界に携わる人材の需要は増加しています。このような状況下で、IT人材を企業にアサインする役目を持つSES業界は今後もIT業界の成長に比例して大きな成長が見込めそうですね。
IT人材は不足している状況
一方でそのような重要の急増に対して、IT人材は2030年には最大で79万人も不足するという予測(経済産業省の調査)があり、この市場において人材の供給が追いついていない状況です。IT人材の不足は日本でも大きな問題となっています。

このような市場環境で、プロジェクト単位で必要に応じたエンジニア人材を提供できるSES企業は、増え続ける人材需要を満たす重要な役割を果たしているのです。
エンジニアの採用競争は過激化
企業が自らエンジニアを採用するケースもありますが、採用の難易度は年々上がり続けています。東京都が発表している「職種別有効求人・求職状況」によると、IT関連人材の有効求人倍率は2024年7月時点で約3倍となっており、1人のIT人材を3社が競い合っている状況です。企業が自社でエンジニアを採用・育成していくには、時間も費用もかかるため、必要な技術リソースを迅速に確保してくれるSES企業のニーズは強いです。
近年はAI、データサイエンス、クラウドサービスをはじめとした最新技術を導入する企業が増え、それに伴い個々の技術領域で専門性の高い人材を必要とするケースもあります。このような場合も、必要な技術に応じて適切なエンジニアをアサインできるSES企業が求められます。
このように、IT業界の市場拡大とそれに伴うIT人材の需要が伸びており、比例してSES企業の需要も高まり続けているのです。
今回のまとめ
本記事では、
- 東京都に本社を構えるSES企業の還元率ランキング
- エンジニアの転職先として優良なSES企業の見分け方
などを解説しました。
エンジニアの転職先として優良なSES企業であれば、エンジニアとして幅広い経験を積めたり、ワークライフバランスをとれたりとメリットが多い半面、紹介したようにプロジェクトが自由に選べない・給与が少ないようなSES企業も残念ながら少なくありません。
SES企業によって特徴は異なりますが、ご自身が希望するキャリアを叶えられるか、本記事が少しでもお役に立てば幸いです。
転職をご検討中の方は、ぜひランキング上位の企業をチェックしてみてください。

